ガラス作家 貴島雄太朗ウェブサイトを新しく制作、公開致しました。

Works

作品

削紋ロックグラス

たっぷりに吹いたグラスを研磨してあるロックグラス。 磨りガラス調の仕上げには鈍い輝きがあり、半透明な表面は中身を静かに包み込みます。切り子と呼ばないのは、細工の凄みを謳うより、削ることが意味を示すのではなく、造形でありたいと思うからです。持つ手と持ち方を選ぶのと同時に、おさまりの良さに高い嗜好性があるようです。

削紋花器

削紋のシリーズは手にとるうつわのなかでの展開を進めて来ましたので、手のひらサイズのものばかりです。大きいものを作ろうとすると、吹いて削っての作業負担が大きいのと、手にするうつわを離れたときにどうなるかが想像できませんでした。枝ものの投げ入れにつかう花器として、かたちの変化を抑えて、研磨も単調に施して様子を見てみます。手にしない、距離感のあるうつわにはどういうものがふさわしいか試行錯誤中です。

quadretti ビアグラス

ガラスの半透明には、すりガラスによる表面的処理と、色による着色処理があります。削紋が前者であり、後者がこのビアグラスです。オパーリンという乳白色もガラスのなかでは象徴的な色で、ノスタルジックな趣もあります。そして、色ガラスの四角いかけらを貼り合わせて、濃淡や発色の変化を施しているところからの”quadretti”という名の由来です。膨らましたかたちが張りのあるうちに成型を終えて、冷めてから口をスパッと切って仕上げているので、シャープな飲み口です。

礫(つぶて)

用途の制約を受け入れて、用途に助けられるガラスのうつわですが、用途をあまり気にしないでつくってみたくもあります。炉から巻き出したガラス塊を、気分にまかせて自由にまとめて、上下左右、水平垂直とか気にせずに自由に削ります。相談するのは、ガラスの塊の凹みの大きさと、ヤスリのホイール直径との関係のみ。出来上がった塊は、いろいろな向きで置けて、ゆらゆら揺れたり、気が向いて穴があいたものはディフューザーにでも使えば良さそうです。

Exhibition

個展

本郷 「ギャラリー愚怜」
石神井公園 「knulpAA Gallery」
笠間 「Glass Gallery SUMITO」
上海 「介末craft」
目白 「ギャラリールヴァン」
南青山 「グラスギャラリーカラニス」
益子 「starnet」
真鶴 「Gallery aTo」
丸の内 「ギャラリーイクサス」
北斗市 「重要文化財八代住宅 穀蔵」
西麻布 「le bain」
渋谷 「東急百貨店本店」文化庁後援「ガラス 光の雫展」(重文八代家にて)
日本橋 「三越」

グループ展

工房メンバーとの青樹舎硝子工房展
ガラス作家同士の展示、異分野の作家との展示
ヴェネチア、スイスなどの海外ギャラリーやデパートによる展示

その他各地にて多数

Made to order

受注制作

2001年~ 株式会社ミキモト本店ショーウィンドウ、ディスプレイ制作
2002年 株式会社東映アニメーション細田守氏監督による番組制作を監修
2004年~ 株式会社東映の映画制作にガラス制作分野で参加

その他技術を生かした特殊なガラス制作多数

武蔵野美術大学卒業制作

商業ディスプレイをガラスで制作をする機会が増えて、外部デザイナーとのやりとりを始めるようになりました。デザイン的な語学習得と美術的な基礎を得ようと、大学でスペースデザイン専攻の通信教育を受けました。

慣れ親しんだものづくりと、あらたな空間デザインとは、制作のプロセスが大きく違います。ものづくりでは用途目的などが大きな手がかりで、そこに量感やテクスチュアが与えられてなにかが産まれていきますが、空間のそれにはそういう物理的な手がかりはなく、物語、妄想が端緒となり、成果物はかたちであっても、それは対象との関係や空気を作るためのメディアでしかないという違いがあります。

モノを作るのとコトを為す違いがよくいわれますが、そのような発想の相違があります。 モノ作りに専念してきた私にとっては、この転換はとても難しいもので、結局何年かかってもモノの呪縛から逃れられずに終わったようにも思えます。その最後の葛藤が卒業制作でした。

卒業制作に選んだ題材は、任意に選んだ小説「豊饒の海(三島由紀夫)」をもとに空間表現を試みています。4部作で構成される小説は、物語を動かす主人公が転生を繰り返し、語り部たる彼の友人が、それに寄り添って展開され、そこには若さと老い、美と醜、狂気と正気、真実と嘘、あらゆる対比が描かれていました。

「豊穣の海」より

四つの物語、それぞれにある転生の瞬間またはそれを知り得た驚きの瞬間は鮮やかな描写であり光に満ちているかのようである。それぞれの瞬間をことばに変換し、造形を進めた。

第一編

春の雪からは、同年のふたりの主人公はまるでひとつから生まれた2つの正反対の対比を見るようだった。 「おなじ時に生まれ、光と陰に別れた。」 美しい珠ふたつは、天と地のそれぞれ違う方向を指し、宙に浮く。

第二編

奔馬 青年は清らかな死を目指して突っ走り、朝日のなかでそれを迎える。 「生まれ変わりは、整然たる理想に砕け散った。」 四方に飛び散る命のかけらは、その影にさえも輝きを与える。

第三編

暁の寺 王女は、壁の向こうからの視線に気もつかず、愚か者達の戯れの玩具となる。 「生まれ変わりは、視線に射抜かれた向こうにあった。」 光は絡み合う脚のように曲がりくねり、漆黒の陰を落とす。

第四編

天人五衰 善意の衣を羽織った主人公は、痴人を操り、老いた語り部に殺意を抱く。「生まれ変わりは、悪意に養われ、毒を纏った。」囲われた毒は鈍く重い光を保ち、自らが崩壊することのみを待っている。

作品全景

青樹舎硝子工房、貴島雄太朗、商業デザインディスプレイ×空間デザイン制作イメージ

Biography

略歴

ガラス作家 貴島雄太朗

ガラスに魅せられ、1996年に青樹舎硝子工房を開設、皆様に支えていただき現在に至っています。作家活動、企業様や個人様のご依頼による注文制作を中心に活動しています。グラス、うつわ(お皿、小鉢)、花器から、企業様向けに商品ウィンドウデザインディスプレイ、徽章、表彰記念品(盾、トロフィー)まで幅広く制作しています。

週末には吹き硝子教室を催し皆様と楽しい時間を過ごしています。都内で、吹き硝子ができる工房は数えるほどです。

作って欲しいなと思っていたり、習ってみたいなと思っていらっしゃったら、ご遠慮無く連絡ください。新しい出会いを楽しみにお待ちしております。

1964年 東京生まれ、明治大学商学部卒、武蔵野美術大学スペースデザインコース卒
1992年 損害保険会社勤務のかたわら、吹きガラスをはじめる
1994年 Pilchuck Glass School参加
1995年 Lino Tagliapietra氏及びRudy Gritch氏によりbest studentにノミネート
1996年 青樹舎硝子工房設立
1999年 これを専業とし現在に至る

Production Scene

作品制作風景

吹きガラスやキルンワークを中心とした熱成形と、付随する研磨加工を得意としています。

Media

取材

2018.10 BS12「BOOKSTAND TV ニッポンお仕事図鑑~匠の仕事場~」
2017.10 テレビ東京「ゆうがたサテライト」
2015.6 NHK Eテレ「シャキーン」
2015.5 フジテレビ「おーい!ひろいき村」
2014.6 JCOM「ジモトピ」